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赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生

赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生
89歳にして初の映画主演となった赤木春恵

 女優・赤木春恵(89)が16日、都内で行われた初主演映画『ペコロスの母に会いに行く』(監督:森﨑東/配給:東風)の初日舞台あいさつに俳優・岩松了(61)、女優・原田貴和子(48)、俳優・大和田健介(23)、女優・松本若菜(29)、森﨑監督、原作者の岡野雄一とともに登壇した。

 サプライズで森﨑監督と大和田の誕生日を祝福。11月19日に86歳になる監督は、「まるで映画のような時間。いつ覚めるかわからないけど、覚めなくてもいい。このままいきます!」と、満面の笑みだったのに対し、11月12日に23歳になった大和田は、サプライズに声を詰まらせ、涙をにじませるほど感激していた。

 原作は、長崎を舞台に、グループホームで暮らす89歳の認知症の母親とのおかしくも切ない日常を描いた岡野雄一の実体験を基にした同名エッセイ漫画。

 息子のゆういち役を務めた岩松は、「よくぞここまで辿り着いたな」と、感慨無量。映画の舞台と同じ長崎出身なため、「言葉は苦労しなかった」が、「ハゲヅラが大変で、朝3時間かかり、落とすのに1時間半。1日の3時間半は頭関係と。かなり印象強く残っております」というと、赤木も、「(毎朝大変そうなので)話しかけるのを遠慮してしまった」と、乗っかる。

赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生

 映画を観終わった観客たちは、劇中の岩松の頭と同じ舞台に立っている原作者の岡野氏の頭とを観ながら笑いが起きる。そこへ原作者の岡野が、「岩松さんは、ことあるごとにこの話をしているんですけど、岩松さんが長い時間かけて頭を作っているのを見て、申し訳ありませんと。ハゲててすいません」と、言って、さらに笑いを誘った。

赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生
赤木春恵(右)を本当の母の様に接した岩松了(左)

 89歳にして映画初主演となった認知症の母・みつえ役の赤木は、「足を痛めておりますので、車椅子の上からご挨拶して申し訳ございません」と前置きし、「(エッセイ漫画での)お母さんがあまり可愛らしく描かれておりますので、可愛いおばぁちゃんを演じたいとずっと思っていました」と、茶目っ気たっぷりに言う。

 岩松も、「母親に対する愛情が、自分は孝行できなかったなぁという印象がある中で、赤木さんをお母さんと思いやらせていただきました」と、長崎弁と共に、雰囲気も原作の世界の温かさを出した。

 また、赤木が演じた母・みつえの若いころを演じた長崎で生まれ育った原田は「原作漫画を読むと、方言の世界観がとても重要で、そこに魅了された。的確に表現したい」と、長崎を離れて30年経ったため、そのブランクを埋めるために、「正確な長崎弁を特訓した」という。

 原田は、妹の原田知世と20年ぶりに(『私をスキーに連れてって』(87年)『結婚』(93年)以来)3度目の姉妹共演を果たしている。

赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生
感極まって、声を上ずらせながら感謝の言葉を述べた大和田

 父親の俳優・大和田伸也(66)の次男・大和田健介は、「森崎東監督の大好きな映画が、公開初日を迎え、胸熱くなって通ります。この場所に立てているのが幸せで、身が引き締まる思いです」と、金地要しながらあいさつ。

 父の大和田伸也が森崎監督作『藍より青く』で赤木の息子役を演じてるという不思議な縁に、大和田は、「すごく運命的なものを感じる。父からは、赤木さんは素敵な方だからたくさん甘えてきなさいと言われた」そうで、その通り、「岩松さんはいいお父さんという感じで接しさせていただいた。長崎弁に苦労して、岩松さんに押し植えてもらった。赤木さんも、本当のおばあちゃんのように接してくれた」と、告白。笑顔の赤木は、「本当の孫みたいな感じで、画面の上で接していた。なかなかいい青年です」とたたえられると、恐縮していた。

 グループホームのスタッフ役の松本は、「京の大泉学園のグループホームに行って、一緒にお茶を飲んでおやつの時間一緒に過ごしたり、スタッフの方にどういうのが辛いのか、楽しいのかなど、基本的なことを伺いました」と、役作りに励んだという。

 岡野自身の体験をもとに2012年1月に自費出版をしたエッセイ漫画。最初は500部刷って完売しなかった漫画が、いまや20万部を突破する大ベストセラーになり、遂に映画化された。

赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生
原作の岡野雄一氏

 岡野氏は、「(自費出版の映画化という)話があったときには訳がわからなかったですが、気がついたらここに立っております」と、公開初日を迎えたステージ上でも戸惑いつつも喜んでいる様子であった。「あんなにも地味な漫画が広がりを持っていることに今、そういう時代なんだな、時代とすれ違っていることを肌で感じています」と介護・認知症という社会問題に関わり続けている身としての思いを観客に伝えた。

 最後に本作について、まず岩松が、「介護を扱った映画ということで、暗いイメージを持たれる方が多いかと思いますが、そうではないということを声を大にして宣伝して頂ければと思います」と、認知症の母親を常に笑わせながら支えていく主人公を演じた思いを伝えた。

 森﨑監督は、「介護をするということは楽しいことだということを知りました。ウソのようだけどウソではありません。皆さんもされる立場になればわかります、それはもうすぐですので、急がなくても結構です」と、喜劇映画の巨匠は最後まで会場内の笑いを誘っていた。

 同映画は、全国公開中。

 

赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生
岩松了
赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生
原田貴和子
赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生
松本若菜
赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生
大和田伸也の次男の大和田健介


赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生
森﨑東監督
赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生
森﨑東監督(左)に誕生日の花束を渡す原田貴和子(右)
赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生
大和田健介(左)に誕生日の花束を渡す松本若菜(右)
赤木春恵、89歳で初主演映画!20万部を突破した原作本が介護喜劇映画として誕生
介護の楽しさを示した作品
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