俳優の高橋英樹(69)が、16日、東京・浅草公会堂で行われた『第29回浅草芸能大賞授賞式』および『第30回浅草名人会』並びに平成24年度『スターの手型』顕彰式に出席した。
96年から毎年夏の『隅田川花火大会』(テレビ東京系)で司会を務めており、浅草とは縁が深い高橋が、『第29回浅草芸能大賞』の大賞を受賞。挨拶では、「今年で芸能生活52年です。これもひとえに皆様方の温かいご支援と厚く感謝しております。この後も皆さんに喜んでいただける、楽しんでいただけるように精進していきたいと思っております」と、喜びをあらわにした。
司会のフリーアナウンサー・梶幹雄とのトークでは、仕事のオファーは「なんでもやります!」と受ける姿勢を明かし、「これは不得意だとか得意だとか、自分に合ってるとか合ってないとかはちょっとおこがましいかなと。オファーをいただいたものはすべて順応する。それが俳優のお仕事だと思っています」と、力説。
書家としても活動しており、「書はチャンバラと似ている。白い紙の上に墨をつける瞬間は取り戻しができないんですね。あれが剣のさばきによく似ています。一瞬で決まる感じがして、絵よりも書のほうにハマりました」と、時代劇と比較して熱く語った。
昨年、『必殺仕事人2012』(テレビ朝日系)で役者人生初の悪役に挑戦したが、「気持ちよかったですね~! いままで善しかやったことがなくて、悪を7万人ぐらい殺していますけど。やっぱり主役の方に『こいつを斬って、いかに気持ちよくなってもらおうか』というのが、悪の真髄だと思うんです。東山(紀之)君に本当に気持ちよく斬ってもらいました」と、意外にも快感だったよう。
また、厳格な教師だった父親の話題となり、「映画ばっかり観ていたら、成績が急に落ちまして。高校の先生に進路指導で『役者になりたい』って言ったら、父親に通報されまして、『どうせ落ちたらあきらめるだろう』ということで、日活の願書は父親に書いてもらったんです」というエピソードを披露した。
だが、周知の通り、61年、高橋は高校在学中の17歳で日活ニューフェイス5期生に。これについて、「合格したのに父親から『勘当だ』って言われました。おかしいですよね? 自分が願書出したのに」とこぼし、場内爆笑!
NHK大河ドラマ『国盗り物語』、テレビ東京系の12時間を越える新春時代劇『織田信長』で織田信長を演じてきた高橋は、「自分は信長の生まれ変わりだと思ってますから。セリフを覚えてなくても、信長ならこう言うに違いないと思ってしゃべると、その通りなんですよ」と、きっぱり。だが、意外にも「いまやりたいのは明智光秀。なぜ彼が信長を討とうと思ったのか、突き詰めてみたい」と、信長に謀反を起こした張本人を演じてみたい意向を明かし、最後に「娘のほうもよろしくお願いします」と、娘でフジテレビの高橋真麻アナウンサー(31)についてもコメントした。
『第29回浅草芸能大賞』新人賞は、脅威の28人抜きで、昨年9月真打に昇進した落語家の古今亭文菊(34)が受賞。「私はまだ入門して10年そこそこの駆け出しです。昨年度の新人賞は芦田愛菜ちゃんで、それにも劣る新人でございます」と挨拶し、観客を笑わせた。
浅草公会堂の入口を飾る『スターの手型』で、顕彰されたのは、漫才コンビの『青空球児・好児』、歌手の菅原都々子(85)、歌舞伎俳優・坂東三津五郎(57)、作曲家の平尾昌晃(75)の4組。
菅原が「まさか私がここまでお呼びいただけるとは存じませんでした。さっきからオロオロいたしておりました。歌っているほうが気が楽です」とおそるおそるコメントすると、『青空球児・好児』の球児が「49年やっていてよかったと噛みしめております。いまの嬉しい気持ちを吠えます! ゲロゲーロ!」と、自身のギャグで場内を明るい雰囲気に。
平尾は「昭和33年に浅草国際劇場でポール・アンカと共演して、あれから55年。よくやってきました。歌というのは、常にみんなのものだと思っています。この賞に恥じないように、これからも生涯現役を目指します」と、浅草の思い出とともに宣言。欠席した三津五郎に代わり、息子で歌舞伎俳優の坂東巳之助(23)が、「現在も毎年除夜の鐘を突かせていただき、新年を浅草で迎えております。ご縁の深い浅草の地に私の手形を残すことができますことは、誠に嬉しく光栄なことです」というメッセージを読んだ。
『第30回浅草名人芸』は『東京ボーイズ』の歌謡漫談、北見マキ(72)のマジック、『昭和のいる・こいる』の漫才で大盛況。『青空球児・好児』も特別にネタを披露し、得意の「逆さ言葉」や、とても活字にできない芸能人のカツラ事情で、観客や報道陣を爆笑させた。
【第29回浅草芸能大賞】
大賞:高橋英樹
奨励賞:米倉涼子
新人賞:古今亭文菊
【平成24年度『スターの手型』顕彰者】
青空球児・好児、菅原都々子、坂東三津五郎、平尾昌晃