舞台『祈りと怪物～ウィルヴィルの三姉妹～』（演出：蜷川幸雄）プレスコールが11日、東京・渋谷Bunkamuraシアターコクーンで開かれ『V6』森田剛（33）、俳優・勝村政信（49）、女優・原田美枝子（54）、伊藤蘭（57）らが劇中シーンの一部熱演した。
“KERA”ことクラリーノ・サンドロヴィッチ書き下ろしの舞台。海と火山に囲まれた架空の町『ウィルヴィル』を舞台に愛憎、欲望うずまくドラマが繰り広げられる。先月まではKERA演出で上演されていたが、12日からは蜷川バージョンとなり、2人の演出対決と銘打った対決も見どころの作品だ。
祖母・ドンドンダーラ（三田和代）と暮らす貧しい青年・トビーアス（森田）はウィルヴィルを支配するドン・ガラス・エイモス（勝村）にひょんなことから目をかけられ手下となる。ガラスには三姉妹がいるのだが、それぞれ複雑な事情を抱えており…。権力者と百歳を越える母親、子供を亡くした使用人夫婦、テロを企てる市民たち、怪しげな教会の司祭、謎の錬金術師と白痴の助手、町の外から来た放浪の若者などさまざまな要素が絡み合ったクロニクルが紡がれる。
4シーンが報道陣に公開されたが、一筋縄ではいかなそうな3姉妹の狂気的姿や、拷問にかけられるテロリスト、そして、トビーアスによる胸の内の激白など、どのシーンからでも観る者を引き込む熱演がなされた。
終了後の囲み会見には、プレスコールでは参加していなかった古谷一行（68）も舞台衣装で加わることに。古谷は、「公演時間の長い作品ですけど、内容は盛りだくさんなんで」と、アピール。
今回はKERAとの演出合戦という側面もあるが、その場にいない蜷川について勝村は、「KERAさんを意識している感じはありますが、それ以外は普通ですね。KERAさん版も拝見しましたけど、役者の数だけ正解があるんだなと思いました」というと、伊藤も、「これまで（蜷川が）何もおっしゃられなくて、きのうダメ出しをされて修正したくらいです」という。これに、蜷川舞台2回目という古谷は、「パワフルさがある、今回は何も言わないなぁと思ったら、役者に任せているようです。だから、役者も危機感をもってやらないといけないです。でも、出来上がってみると蜷川ワールドの舞台になってるんですよね」と、演出方針を伺わせることに。
そんな最中、蜷川がチラリと報道陣の前に顔を出し、KERAとの演出対決のことを尋ねられると、「意図的にKERAの舞台は観ていない」と、意識しているようで、俳優の起用などについて尋ねられると、俳優の面々の前にしているため、「メンバーはおもしろいのがそろってるとしか言わざるおえねぇだろ？バカヤロー」と、笑いながら言い出し、報道陣を和ませることも。さらに、「芝居は長いけど、KERAが書いたんで。演技を楽しんで」と、言い残し忙しそうにその場を後にしていた。
ほかにも、ガラス演じる勝村とその娘・バラーラ演じる原田と年齢が年上なことにちょっぴり緊張しているという心情を吐露すると、大ベテランの古谷が「大丈夫、大丈夫！見事！」と、合いの手を入れたり、神父役の古谷が「バラーラに19年恋をしているということなんですけど、ガラスが許してくれない」と言い出すと、勝村が「許しません！」と、ツッコミを入れニヤリと笑ったりと、約2ヶ月にわたるけいこでの信頼関係を見せていた。
舞台『祈りと怪物～ウィルヴィルの三姉妹～』は1月12日～2月3日は同所にて、2月9～17日はシアターBRAVA！にて上演！
