「反訴します。デヴィさんのオフィシャルブログ見たら、相当、尋常じゃないほど傷つけられているので。弁護士先生に相談したら、これは(名誉毀損に)値すると。僕の心も傷つくし、おふくろのことも侮辱している。僕としては許せるわけないですよ」と、静かに怒りを表すのは、昨年1月11日に食道がんで死去した女優・淡路恵子さん(享年80)の長男で俳優・島英津夫氏(53)だ。
「一周忌の喪が開けたらお話します」と、沈黙を守り続けてきた島氏。この日、一周忌を終えた親族と親しい関係者、「萬屋錦之助一座 ざ☆よろきん」劇団員達100人が手を合わせた。
島氏は一周忌にあたるこの日、仙行寺(東京都豊島区南池袋)でニュースラウンジの取材に応じ、昨年1月22日に営まれた葬儀をめぐり係争中のデヴィ夫人(74)について胸中を初激白。
事の発端は、昨年1月22日に青山葬儀所(東京都港区)で行なわれた淡路恵子さんの告別式でのこと。デヴィ夫人が、「あーた、こんなにいい着物を棺に入れるの?これ300万円はするわよ。燃やすくらいなら譲ってちょうだい」といいながら、棺の中から淡路さんのご遺体にかけられていた着物を引っ張り出そうとした。それを島さんが慌てて制止した。
このやりとりを週刊誌『週刊ポスト』(小学館、2014年2月21日号)が記事にした。さらに、それに対して、デヴィ夫人から抗議の電話があり、最後に「私まだ着物もらってないからね」と言ったという顛末を女性週刊誌『女性自身』(光文社、2014年3月25日号)が記事にした。
すると、デヴィ夫人が、「私が言いもしない、してもいないことをあたかも起きたかのごとく」書かれたとし、2誌および誌面で証言をした島さんを8月1日に東京地裁に名誉毀損で提訴した。
島氏は、「(デヴィ夫人は)300万円とは言ってないですけど、高価なものといったのは事実です。また、ポストの記事が出た後、デヴィ夫人から、49日終わる前の2月ころに電話がかかってきました。何をおっしゃっているのかわからないぐらい怒っていて、最後に『私まだ着物もらってないからね』とハッキリ言ったんです」と、当時のやりとりを振り返る。
その後、一切音信がなく、8月ぐらいにいきなり東京地裁から名誉毀損の訴状が届く。その時の思いを、「2000万円ですか。かなりビックリしましたけどね。なんで僕を訴えるのかわからない。弁護士先生も名誉毀損に当たるわけがないとおっしゃっています。ただ、訴えられた方は対抗しなければいけないので、証言者の方とかいっぱいいるので大丈夫だと思うんですけど。身内の方、おふくろの側にいた方は(デヴィ夫人の発言で)不快な思いされていますよね。それでも言ってないというのは、筋が通らない。裁判でハッキリさせていただかないと」と、語気を強め徹底抗戦の構えだ。
さらに、「デヴィさん自身も『真実はひとつだ』と言ってますけど、『真実はひとつ』は僕だと思ってます。(僕は)全く嘘ついているわけではないし、(デヴィ夫人から)言われたことを週刊誌の方に言っただけ。これは僕の名誉、母親の名誉のためにもちゃんとした答えを出していただきたい。裁判でハッキリさせていただかないと」と、重ねて強調する。
また、「デヴィさんは、囲み取材の時に、『この着物をゆずってほしい』と、自分で言ってるんですよね。それは、『言ってない』ということも向こうの弁護士は言ってるんだけど、『女性自身』の記事を見ると囲み取材で言ってるんですよ。あまりにも矛盾してるんで、向こうの弁護士もどうなっちゃってんのっていう感じですよね」と、具体例を上げて、デヴィ夫人の不利な部分を指摘する。
それにしても、なぜ島氏は、一周忌の喪が開けるまで沈黙を守ったのだろうか。「同じ土俵にも乗りたくないし。母の一周忌まではそういうことで、おふくろを苦しませたくない。日本人として喪があけるまでは、母のために手を合わせていたかった。向こうが裁判起こしたから、こっちもと言うのはおふくろに対して失礼だと思った。とりあえず、ケジメとして、一周忌までは何も語らないと、決めました」と、喪中であったことが原因という。
島氏は、訴訟だけではなく、この1年間、淡路さんがご存命だった時に決まった仕事1本を除いては、役者として舞台にも立ってない。ここからも、「一周忌までは全て喪に服して」という強い意志が伺える。
裁判は現在、係争中で、2014年10月と11月に行われ。2015年1月19日に第3回目の公判が行われた。
さらに、島氏はもうひとつのトラブルを抱えている。それは、『女性自身』(2015年1月20日号)で報じられた、「【告発スクープ!】キャッシュカードも…一周忌を前に長男が『遺品トラブル』初激白 故・淡路恵子さん享年80歳『預金通帳が消えていた!』」の記事。
ひとつは、淡路さんの告別式の時に、徳光さんが一緒に淡路さんとやっていたラジオの番組のやりとりのテープをDVDに焼きまわしして、受付に置いておいてくれたものが紛失してしまったという。
島氏によると、「徳光さんが、『受付の方に想い出のテープというかDVDがあるので、落ち着いたらお母さんのことを思い出してあげてください』といわれて、受付に行ったらない。どなたかが持っていったんですよ。それ(誰かということ)も受付の方たちは全部見ているわけなんです」と、これは犯人の目星は付いているというが、ここでは実名は明かされなかった。
もうひとつは、「預金通帳とカードが消えた」というもの。ことの経緯について島氏は、「おふくろがなくなって、こっち(仙行寺)に運ばれた次の日におふくろの身の回りの整理をしていたら、財布の奥の方から、くしゃくしゃになって、入院中にATMで(お金を引き)出している明細書があったんです。これ何だということになりました。しかし、いっくら探しても通帳もカードもないということがわかった」という。
島氏も、この通帳とカードの存在は、その時まで知らなかった。ただ、明細書があるということは、口座が存在していることがわかった。しかし、カードも通帳も見当たらないという不思議な事が起こったという。
ATMからお金をおろしているのは1回だそうだが、それが使い込みなのか、淡路さんに頼まれたのかについて、島氏は、「それは見てないので、わからないですけども、(お金をおろした)8月は、おふくろは入院してましたから。病院・入院中におろしているのに、(通帳とカードが)なくなったということなんですよ」と、いぶかる。
事件性があるということで、刑事さんにも調べてもらい、その銀行に行って1年間の入出金の履歴を出してもらい確認したという。そしたら、その口座は、淡路さんが生前仕事をしたギャラが振り込まれている口座だとわかった。その通帳とカードが紛失した。
さらに、「おふくろが入院してから亡くなる半年間、いっさい事務所から振込みがないんです。おふくろが亡くなった後に、スケジュール帳を見たら、入院する前にかなりバラエティーに出てるんですよね。それなのに、半年以上経っても入金されないのはありえないので、その辺を今後、弁護士の先生を通じて、ちゃんとしていかないと、あやふやにされても困りますから」と、ギャラの未払いも発覚したという。
そのことは淡路さんの日記帳にも、「私これだけ稼いでもこれしか入ってないの、冗談じゃないわ。これだけ稼いだのに、なんでこれっぽっちなの。全然ギャラ払ってくれない」と、書かれているという。
また島氏は、「おふくろも2人で話ていると、『もうやーよ。Kさんは。本当にいいかげんで、これだけギャラちょうだいといっても、『いやー来週』といって。ほんとうにいやになる』というのを、おふくろから聞きましたから」と、以前からギャラの支払いトラブルが発生していたという。
島氏は、「これも、法廷の場でキッチリする」と、強い口調で言いきった。
病室で、「お母さんもっと字が上手かったのよ。恥ずかしいわ」といいながら、最後の力を振り絞り書いた手紙。翌日には字が書けなくなったため、ほんとうに最後の文字だという。
左から4男で元俳優の萬屋吉之亮さん、母親で女優の淡路恵子さん、元夫で俳優の萬屋錦之介さんの位牌