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AKB48じゃんけん大会!ドラスティックなメンバーの入れ替えがなく物足りなさ

 “麻里子様”こと篠田麻里子(AKB48チームA、25)が6連勝で優勝し、24枚目のシングルで22度目の選抜入りとなるが、初の単独センターをゲットした「第2回じゃんけん大会」。

 麻里子様の初センター獲得は、すごくよかったと思う。

 05年の『AKB48 オープニングメンバーオーディション』に落選(当人は「オーディションに間に合わなかった」と言っている)。そこで、AKB48劇場内カフェ『48’s Café』(2008年閉店)のスタッフ(カフェっ娘)になることを打診され、12月のAKB48活動開始時より、カフェスタッフの仕事を始めた。

 250席の劇場さえ埋まらなかった時代で、裏方として真冬の夜にビラ配りも経験。06年 1月、お気に入りメンバーの人気投票で、カフェっ娘にもかかわらず1位になったことを聞きつけた秋元康が、AKB48のメンバーに抜擢した。

 まさに、篠田のサクセスストーリーは、AKB48そのもの。アイドルになりたくて小さい時から、オーディションを受けまくったが合格しなかった落選組。それでも夢をあきらめなかった集団だったスタート時のAKB48。

 観客7人からスタートし、ファンによってアイドルになり、ファン層の拡大によって、メジャーアイドルの階段を上ってきた。

 いまや篠田は個人としてもモデル、女優、タレントとして活躍の場を広げている。さらに、原点ともいえるファンの支持も総選挙で4位といまだに、根強い。

 私は、「AKB48の顔」は前田敦子ではなく、篠田麻里子だと思う。

 また、選抜を勝ち取った他の15人もドラマ性があるメンバーが多数入り、「努力は人を裏切らない」を身を以て体現したと思い、これもいいことだと思う。

 秋元さやかも、男性スキャンダルでチームKのキャプテンを辞任。走るのが苦手な秋元が、東京マラソンに挑戦し、見事完走。キャプテンに復帰した。総選挙でもそのストーリーに総選挙では17位と、メディア選抜まであと一歩という票を獲得。

 初選出を獲得した大家。2007年5月に4期研究生となってから正規メンバーに昇格するまで、3年2カ月(劇場デビューから872日)という最長研究生在籍記録を持つ苦労人。

 AKB48をクビになる寸前のところで、たまたま事情を聞いた小嶋陽菜(23)と篠田麻里子(25)が「しいちゃん(大家)は絶対に落とさないでください」と運営側に伝えたことも一因となり、最悪の事態は免れた。という苦労人。総選挙29位。

 梅田彩佳も ダンスや歌唱力に定評がありながらも、06年に足を疲労骨折し、治療・リハビリに専念するため、長期休養。08年に5月に復帰。これまでの選抜はメジャーデビューシングル「会いたかった」と08年6月発売の通算9作目のシングル「Baby!Baby!Baby!」だけ。それ以降の3年間はチャンスをつかみ損ねた。3年ぶり3回目の選抜入りを果たした。今年6月の選抜総選挙では22位。上位21人の選抜メンバー入り目前で涙をのんだ。

 それでも、やはり、今回の「じゃんけん大会」は、第1回目に比べてサプライズ度は低い。

 選抜入りした16人中、篠田麻里子、小嶋陽菜、峯岸みなみ、秋元才加、河西智美、北原里英と、半数近い常連組では、ワクワク感はあってもドキドキ感は足りない。

 「完全な平等」で誰が「チャンスをつかむ」かわからない。運(神)に全てをゆだねた年1回のシャッフル。それが「じゃんけん大会」だ。スタッフ目線でも、ファン投票でもない。予定調和ではなく、誰も全く予想がつかない「選抜メンバー」の顔ぶれ。

 そして、常連組によるある程度先が見えた完成度よりも、あぶなかしいが、どんな化学反応が起きるかわからないメンバー。スポットライトを浴びたことで、どう化けるかわからない隠れた原石を見つけ、彼女たちがどう化けるか。それが楽しみ。

 まさに麻里子様が言ったように、「新しい風を吹き込む」ことであり、「化学反応」ということからすると、半数近い常連組は多すぎる。

 もちろん、組み合わせを操作できないが、理想を言うならば、16人のうち、常連組は3人でいい。それもセンター近辺じゃないほうが理想。そして、選抜5回未満のメンバーが5人程度。初選出組(できればチーム4や研究生)が4人程度。SKE48とNMB48から2人ずつ。というバランスが、おもしろいと思う。

 今回でいえば、先に挙げた常連組が半分に減り、

 少数回組 前田亜美(2回目)、梅田彩佳(3回目)、藤江れいな(3回目)、佐藤すみれ(3回目)

 初選出組 大家志津香(チームA)、山内鈴蘭(チーム4)、小林茉里奈(研究生)

 地方組 肥川彩愛(NMB48研究生)、山口夕輝(NMB48チームN)、桑原みずき(SKE48チームS)

 の各組にひとりずつ振り分けられていれば理想だったと思う。

 常連組のプロとしての完成度の高い歌、ダンス、取り組む姿勢、メディア対応などを肌で感じつつ、怖いもの知らずなパワーを常連組にぶつける。主役を食ってやろうという気持ちで挑み、そこから、新たな刺激をうけて、常連組もどう覚醒するか。そして、そこで得たものが、各所属先やチームに伝え、個人で昇華していくのか。

 いわば、選抜メンバーは日本代表チームや海外組のようなもので、そこで得たものを各チームや個人的に持ち帰り、切磋琢磨し、技を磨くことにより、全体の底上げになると思う。

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