映画『ヘルタースケルター』（監督：蜷川実花／配給：アスミック・エース）初日舞台あいさつが14日、都内で開かれ、女優・沢尻エリカ（26）、俳優・大森南朋（40）、綾野剛（30）、窪塚洋介（33）、哀川翔（51）、蜷川監督（39）が登場した。
完成披露試写会の舞台あいさつを体調不良で欠席し、初日舞台あいさつに登壇するのかが注目を集めた沢尻以外にも、別な“恵梨香様”こと女優・戸田恵梨香（23）と交際報道があった綾野、12日付のサイトを通じて6月に離婚したことを明かした窪塚など、本イベントが初公の場で、3月に18歳年下の女性と結婚した大森と、芸能マスコミにとって“役者”たちのそろい踏み。
ということで、キャストが登壇したとたんに、60人ほどのマスコミが一斉にフラッシュを焚き、「撮影が一言あいさつまで」という規制がより拍車をかけ、ストロボの放烈が数分間途切れることなく、光りっぱなし。
百戦錬磨のキャスト陣だが、りりこの恋人・南部貴男を演じた窪塚は、「ポケモンの現象で倒れた子がいると前に聞いたことがありますけど、痛感してしまいそうな感じです」と、ニヤリ。哀川は「200作品くらい出てるけど、こんなにカメラの音がするのは初めてです。大きな声でしゃべらないと負けそう」と、タジタジ。
りりこのマネージャーの恋人役でりりこが寝取るという役どころの綾野。「いまスタートを切ったんだなと思っています。女性はとても自分自身に執着するということにたいして共感できると思います。改めて女性であることを濫用していただければと思います」と、女性ファンへメッセージ。
それでも大量にフラッシュを浴びていたのは沢尻。同じようなシーンが本編の中でも登場するが、蜷川監督は、「（りりこの）記者会見（シーン）とリンクするんです。あそこで宗教画のような笑い方をしてくださいと言ってたんですけど、フラッシュって本当に凄いんだなと思うと、また意味が深く刺さる感じがします」と、しみじみ。沢尻は好きなシーンがカットされてしまったといい、蜷川監督が「DVDの特典でつけましょう」と、さっそくアピールし、場内を沸かせることに。注目されていることを逆手にとって、ここまで話を盛り上げるのは、さすが“役者”がそろっている。
ひと騒動のあと、蜷川監督が「7年前からやりたくてやりたくて、やっときょう初日を迎えました。そのときにエリカが隣にいるのは嬉しいです」といいながら、「超緊張してる」という沢尻をチラリと見ながらほほ笑む。
続いて、りりこを追い詰めていく刑事役の大森は、「水族館で最後にりりこに合うところですね」。綾野は「遊園地で（水原希子演じる）こずえが観覧車から見てるシーンが印象的です。なんか、あんな小さいハコでもいいから囲ってほしいんだなって思って。なんかそういうのがいいじゃないですか」と、真面目に語る。
一方の窪塚は「出番が少ないんで、濡れ場のところを使ってもらってよかったな」と、安どしているようで、「あとは最後のシーンの前のホテルの部屋みたいなところで、南部の人となりが分かるところで、『昆虫学者』というのが言えなかった」と、振り返る。
自分以外の役を演じるとしたらという質問には、「御曹司」（蜷川監督）、「マネージャーの羽田」（沢尻）、「新井くんのやったやつ（ヘアメイクの沢鍋錦二）」（大森）、「桃井かおりさんがやった役（多田寛子）。バブルのゴージャス感をしてみたい」（綾野）、「りりこ。そのときの自分でがっちり勝負しないとできないし。そのことによって、エリカとりりこが倒錯してえりこになりそう」（窪塚）、「浜口幹男がもっとやりたかった。細かいこといっぱいやりました。ちょっと愛しちゃいました」（哀川）と、それぞれ熱弁した。
最後に沢尻が、「撮影している時からりりこに真剣に向き合って、まさに魂削って作った作品です。1人でも多くのファンに見てほしい」と挙げれば、蜷川監督が「私にとっても運命的で、みんなが魂を込めて作った作品だと思います。その思いがフィルムに焼き付いていると思います」と思いを語った。
また、“旬な人”たちに、質問が飛ぶことはなく、沢尻へ向け「体調の方は大丈夫ですか？」と、気づかう報道陣の声が飛んだものの、場内の音響が大きく、沢尻に届いた様子はなかった。
同映画は、第8回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した漫画家・岡崎京子の同名コミックを実写映画化。全身整形による美ぼうで芸能界のトップに上り詰めたりりこ（沢尻）。『ヘルタースケルター』には「すべり台」（イギリス語）とか、「しっちゃかめっちゃか」という意味。そのタイトル通り、上り詰めたりりこにはさらなる秘密があり、転落へとつながってゆく姿が描かれる。キャストは登壇者のほかにも女優・寺島しのぶ、水原希子、鈴木杏、原田美枝子、桃井かおり、俳優・新井浩文、寺島進と豪華メンバーがそろい踏みで臨んだ力作だ。
なお、本作は本日から全国公開だが、台北国際映画祭に出品され、あす15日にも蜷川監督があいさつと記者会見に臨み、8月24日から台湾、9月20日から香港、韓国と3ヶ国での上映が決定している。
