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ギャラクシー賞「鉄になる日」手がけた島修一氏ラジオドラマの魅力を語る

ギャラクシー賞「鉄になる日」手がけた島修一氏ラジオドラマの魅力を語る
島修一氏がラジオドラマ制作の魅力などについて語った

 『ギャラクー賞入賞作品を聴いて、語り合う会 Vol.15』が7日、東京・ニッポン放送で開かれ、ラジオ部門で大賞に輝いた『鉄になる日』の視聴やトークショーが開かれた。

 NPO法人・放送批評懇談会が主催する日本の放送文化の質的な向上を願って、優秀な番組・個人・団体を顕彰するために創設された『ギャラクシー賞』。6月4日に開かれた『第49回ギャラクシー賞贈賞式』より約1ヶ月となったこのたび、番組や制作などにかんして自由に意見を交換し、語り合うことを目的としている。

 まずは、作家・小松左京が50年近く前に上梓した『日本アパッチ族』を題材にラジオドラマ化した『鉄になる日』を視聴。同作は、仕事をしないことが最大の悪事として取り締まられている架空の現代日本を描き、ニートの主人公・木田福一は国民の義務違反の罪に問われ、大阪城近くにある追放地へ追われるところから始まる。そこには鉄を食べて生きる新人類『鉄人』が暮らしており…。引き込まれるストーリー性もさることながら、効果音、音楽の演出に至るまで、その場にいるような臨場感。一気に世界観に引き込まれる作品に仕上がっている。

ギャラクシー賞「鉄になる日」手がけた島修一氏ラジオドラマの魅力を語る

 同作を手がけた毎日放送の島修一氏は、「あらためて聞くとうるさいですよね」と、効果音の音量が大きかったことを挙げると、場内にも笑いがあふれる。作品を手がけたきっかけについて、「3年前に『日本アパッチ族』をやりたいと思っていたんです。その夏に小松左京さんが亡くなって、そのとき、ようやく企画が通りまして、東日本大震災もあり、大阪から何ができるかというのがありました」という島氏。

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島修一氏を迎えて話が始まる

 「当時のものでやるか、現代にするか迷いましたが現代にしました」と、明かし、「ラジオドラマのよさはどこにありますか?」と、問われると、「スポンサーが少ないのは制約が少ないということで、自由に作れる部分はある。ある程度の説得力がないといけないのも割と強引にできる。個人的にはテレビの大人数を率いるよりも、小さいグループでできるのが性に合っていた」と、魅力を。

 完成度の高さを誇る作品であっても小松氏の原作のディテールなどには振れ切れていないという島氏。「原作のエッセンスの一部しか抜き出せていないのが残念なところで、『鉄人』社会の中では異端視されていた学者の記録という形で紹介されていたり、『鉄人』になる過程で、化学式とかも出てきたりしているので」とも。

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聞き入る参加者ら

 原作には小松氏の執筆当時の背景を絡め疎外感というキーワードがあがったり、現在のラジオ番組を取り巻く状況についての意見交換などがなされ、企画書についての質問には、「企画書を読んだ人間がこれはどういう番組なのか、どういう企画意図なのかを考えて書くといいと思います。現代のテーマにつながるかなどを面白そうに書くといいと思います」と、アドバイスをしていた。

 後半は、DJパーソナリティ賞に輝いたニッポン放送アナウンサー・吉田尚記(36)が、トークを繰り広げることになった。

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島修一氏
ギャラクシー賞「鉄になる日」手がけた島修一氏ラジオドラマの魅力を語る
ギャラクシー賞ラジオ部門委員長(左)から説明が
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