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【インタビュー・前編】結城アイラ「宇宙戦艦ヤマト」ED曲歌詞に涙で初日は歌えなかった

【インタビュー・前編】結城アイラ「宇宙戦艦ヤマト」ED曲歌詞に涙で初日は歌えなかった
『ヤマト』のEDを歌う結城アイラ

 今年38年ぶりに第1作を元にリメークされ、劇場公開されたアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199 第一章』。2013年より放送予定のTVアニメに先駆けて、全26話を7章に分けて映画館でイベント上映(第一章は1~2話、第二章以降は各4話ずつ)される。その記念すべき第一作目のED(エンディング)曲『星が永遠を照らしてる』を歌っているのが結城アイラ。その横顔に迫った。

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 38年前の『ヤマト』世代にとっては、EDといえば、ささきいさお氏の『真っ赤なスカーフ』。そんなイメージが強い中、現在の『ヤマト』世代である結城に率直な感想から聞いてみた。
「『宇宙戦艦ヤマト』っていう誰もが知っている作品なので、緊張というかプレッシャーがあって、いままでにないくらい苦労した曲でした。自分が歌ってるんですけど、自分じゃないという気分でしたね。心境としてはソワソワしてる感じでした。映画館で隣の席の方がエンディングが流れた時に号泣して下さっていて、少しは受け入れて頂けたのかなと思って嬉しかったですね。自分は旧作を観ていて、ささきいさおさんの『真赤なスカーフ』が流れるエンディングが当たり前だったので、自分の中では違和感があったし、観ている方も賛否両論あると思うんです。自分というよりも見ていただいた方からの判断だと思いますので、自分としては言いづらいですね(苦笑)
 『星が永遠を照らしてる』という曲は、ささきいさおさんの『真赤なスカーフ』のアンサーソングというような女性目線から見た『ヤマト』へ乗り組む人たちを見送る歌ということで作っていただいたんです。歌詞の方もそんな内容になっているので、『ああ、もうダメだ。感動しちゃうよ』と思って。レコーディングのときも、歌詞を見るたびに泣いてしまって進まないということもありました(苦笑)」

 2月の『「宇宙戦艦ヤマト2199」発進式~俺たちのヤマトSP』イベントではスターシャを意識した清楚な白のワンピースで登場。柔和で優しげなルックスに、透き通った声でファンを魅了した。
「本当に緊張していたんです。どうしようと思うくらい緊張していたんですけど、ささきいさおさんが『大丈夫だよ』と言って下さって、ステージに上がったときも、『ヤマトに新しい風を吹かせてね』と温かい言葉で背中を押して下さって、緊張がほぐれました。
 リハーサルが終わった後に(ヤマトの音楽を担当する)宮川彬良さんとささきさんの3人でお話するっていう緊張の瞬間が舞台裏であって、『いままでどういう音楽をやってきたの?』っていうお話をさせて頂きました。終わった後も、宮川さんが『よかったよ』と言ってくださって、『いつか一緒にお仕事できたらいいね』っていうお話をしてくださいました」

 結城も『ヤマト』という作品には思い入れがあり好きだという。もちろん、リアルタイムではないが、年の離れたお兄さんがいて、「大きくなってから観てみろよ」と言われて第1作を観たという。
「自分が生まれる前の作品でありながら、古さを感じさせないワクワクする作品で好きになったんです。それだけに、去年末に『ヤマト』のEDに決まったよって言われた時は本当にビックリしました。嬉しさと感激といろんな気持ちがあったんですけど、レコーディングのときは、とにかく私でいいのかなというプレッシャーがすごくあって、レコーディングの初日は歌えなくて、たくさん泣いてしまいました」

【インタビュー・前編】結城アイラ「宇宙戦艦ヤマト」ED曲歌詞に涙で初日は歌えなかった

 涙を流したという『星が永遠を照らしてる』は、実は劇場で流れているのはショートバージョンのみ。そのベールは6月27日に発売されるCDで脱ぐことになる。
「2番の歌詞がまたいいんですよ!大サビの歌詞もすごく良くて、私は一番大サビの歌詞が大好きで、歌っていながらも、毎回、まだ涙腺がウルっとなってしまうぐらい、すごくメロディーと歌詞が合っている感じがあります。作詞家の畑亜貴さんも、『ヤマト』がすっごい大好きとおっしゃっていたので、(歌詞を)読んだときに『ああやっぱ畑さん分かってるな』って(笑)。わかりやすく、ナチュラルな視点だなと思いました」

 話し始めるとその胸の内をよどみなく明かしてくれる彼女。2007年に4月にアニメ『sola』OP主題歌『colorless wind』でメジャーデビューしてから6年目となるが、『星が永遠を照らしてる』で初めての体験もあった。
「すごく思い入れもあるし、歌詞を見て泣いてしまうという経験が初めてだったのです。そういった意味でも、この曲との出会いは、大切なものになりました。曲もそうだし、『ヤマト』っていう作品で歌わせて頂けるというのは本当に光栄なことでした。曲自体はバラードで盛り上がっていくような壮大な曲として作られているので、そのまま壮大な感じで歌ってしまうと、見送っているという優しい感じが最初は出なくて、自分の中でも抑えてささやくように、優しく歌おうということを心がけて歌いました。声は出るんだけど、あえて出さないという感じです。ささやくように歌うというのは難しくて、技術的な面でも、一番背筋というか肺活量を使うような感じでした」

【インタビュー・前編】結城アイラ「宇宙戦艦ヤマト」ED曲歌詞に涙で初日は歌えなかった
『星が永遠を照らしてる』のジャケット

 歌の世界を理解し、時として「あえて抑えて歌う」という表現力。その才能の芽はすでに幼少時代から訓練されていた。
「父がカラオケセットみたいなのを家に置いていたんです。それで自然に歌を覚えて、小学生のときだったんですけど、歌を歌って覚えたら、自分の歌を録音して、それを聴いて『あっ、ここがダメだった』とか、『ここ音がはずれてる』とか、割と分析をしてました。『なんでここ音はずしちゃったんだろう』とか思いながら、お風呂とかで音をとる練習をしてましたね。父と一緒に小学生なのに『男と女のラブゲーム』とか『浪花恋しぐれ』とかを、こうやって歌ったら大人っぽいのかなとか、歌詞の意味も分からず歌っていましたね。そんな環境で過ごしていたので、気付かないうちに歌手になりたいと思うようになっていました」

 見た目の感じでは、ロックとかを声量感いっぱいに、歌い上げそうな雰囲気だが、それとは正反対。歌手になるキッカケも幼少のころに聞いて育った歌謡曲にあるという。
「2才半とかに原田知世さんの『時をかける少女』を歌っていまして、最近のJ-POPとかよりも80年代のアイドル曲、いわゆる歌謡曲というのが好きで、『真赤なスカーフ』も大好きなんですよね。ああいうユッタリしたテンポ間のある曲を歌いたいなと思うくらい好きですね。松任谷由実さんとか竹内まりやさんが好きで、ゆっくりな音楽を聞いていました。洋楽だと結構昔の曲が好きで、キャロル・キングさんとか弾き語りのリッキー・リー・ジョーンズさんとか昔の曲が好きで、60年~70年代ですね。ビヨンセとかはあまり聞かないんです(笑)」

(後編へ続く)

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