俳優・市村正親（63）が9日、都内で行われたミュージカル『ミス・サイゴン』の制作発表会見に、アンサンブル29名と他のプリンシパル10名の40名とともに出席した。
92年の日本初演で、帝国劇場100年の歴史上初という1年6ヶ月のロングランを記録。その後、04年、08年に2度帝劇で再演され、09年には福岡・博多座でも上演された「伝説のミュージカル」が新演出となって、20周年にあたる今年、還ってくる。
舞台の一場面のように、踊るように登場した市村は、初演からずっとエンジニアを演じ続けているが、「（この役は）アメリカンドリーム。僕が劇団（四季）を辞めて掴んだのがこの役。初演でロングランをやったことで、その後の僕の演劇人生で大きな道しるべとなった。役柄と自分の人生は、ダブりっぱなしです」と、笑わせながら、作品への思いを語った。
市村は、「20周年目にまたやれることに感極まっています。20年前は帝劇でしか上演できなかったですが、ヘリが小さくなって博多に行きました。今回は新演出ということで、2日か3日の仕込みで、東北から四国、九州と、日本全国回れる。遠い所にはこちらから行ってミュージカル見てもらうというのはいいですね」と、新演出への期待感を募らせていた。
今回の新演出は、スケールの大きな舞台装置から、大型映像を駆使した、より臨場感ある舞台に生まれ変わった。それに伴い、舞台装置、衣装、照明といった視覚的なものから、音響に至るまで、全てのセクションが刷新され、それによって、7ヶ月に及ぶ日本の11都市を周る縦断公演での公演が可能になった。
20年目の変化について市村は、「初演から20年エンジニアをやりつづけている僕と、その僕の舞台を見てミス・サイゴンを演じたいと…本当に長く生きているといろんな出来事があります。初演の20年前はみんなを引っ張っていった存在でしたけど、今回はみんなが押し上げてくれることを期待しています」と、若い共演者たちに期待を寄せた。
そして、市村は、「一生懸命身体を鍛えて、いつまでもエンジニアをやれるようにしたい。（今後も）オファーが来ればやらせていただきたい」と、一生をかけて演じ切る覚悟を示した。
また、女優の笹本玲奈（26）、知念里奈（31）、新妻聖子（31）は、04年、08年、09年と、ずっと一緒にキム役を演じているが、笹本は過去を振り返り、「ようやく母親の気持ちに近づける年齢になって演じることができるので楽しみ」と、意気込んだ。
知念は、「出産前、出産後、そして、今回は息子が小学生になって学びの多い毎日。時間を重ねて、どういうキムを演じることができるか、楽しみにしています」と、実生活での母親の経験が、役にどうフィードバックされるかワクワクしているようだった。
新妻は新しい演出に興味津々で「オリジナルと全然違う。再演ととらえていなくて、新作を作り上げる気持ちで挑みたい」と、力を込めた。
市村自身は１人でエンジニアを演じるが、キム役は笹本、知念、新妻がトリプルキャストで務めるため、「ミス・サイゴンかミスター・サイゴンか分からないところですけど、そういう運命です。頑張ります」と、笑わせながらも意気込みを語った。
また、同イベントでは、劇中歌も5曲披露された。
1曲目 キム（新妻聖子）とクリス（山崎育三郎）が、『世界が終わる夜に』
2曲目 キム（知念里奈）とエレン（木村花代）が『今も信じてるわ』
3曲目 トゥイ（泉見洋平）とアンサンブルで『モーニング・オブ・ドラゴン』
4曲目 ジヨン（上原理生）とアンサンブルで『ブイ・ドイ』
5曲目 キム（笹本玲奈）が『命を上げよう』
【新演出の配役】
エンジニア…市村正親（63）
キム…笹本玲奈（26）、知念里奈（31）、新妻聖子（31）
クリス…原田優一（29）、山崎育三郎（26）
ジヨン…岡幸二郎（44）、上原理生（25）
エレン…木村花代（34）
トゥイ…泉見洋平（40）
ジジ…池谷祐子（27）
同ミュージカルは、７月１日から「めぐろパーシモンホール」でプレビュー公演を行い、本公演は７月６日から同所でスタート。そのご、7ヶ月かけて、全国11都市82公演を行う。
