現在放送中のTBSドラマ「アリスの棘」の挿入歌を担当している「AJYSYTZ(アイシッツ)」。今ネット上で話題騒然となり注目を浴びる中、5月3日「AJYSYTZアルバムリリースツアーファイナル」が新代田FEVERで行われた。アーティストらが対バンで出演した中の1人「köttur(コッテル)」は、独特の幻想的な音楽表現と魅力的な歌声を持つ女性シンガーだ。
そんなkötturの楽曲である『Wonderland』が現在、話題の音楽サービス「Frekul(フリクル)」にて期間限定で無料配信されている。
波の音とリバースディレイするギターサウンドが絡み合い、kötturの歌声が重なると聴き手は不思議な音像の中へどんどん引きこまれていく。そこから始まる時計じかけの部屋に紛れ込んだような音色・リズムは、自分がからくり人形になって操られているよう。楽曲『Wonderland』は4分36秒の間、壮大な世界とミニマルな世界を行ったり来たりしながら、幻想的で夢の中を漂うような気分にしてくれる。
2007年に2人組のユニットとして16歳で活動を開始したköttur。その3年後にomotesando records(OMOTES)からミニアルバム「nukonomad」をリリース。2011年にソロユニットになり、都内ライブハウス、野外フェスや北京でもライブを行いながらさまざまな作品にゲストボーカルとして参加するなど幅広く活動している。
ほかの楽曲を聴いても感じとれる彼女の魅力は、聴き手を一瞬で引き込む魅惑的な歌声。伸びやか、それでいてオーガニックで染みこむような声色は一度聴くと耳から離れない。さまざまなジャンルを含みながら奏でられるサウンドは、エレクトロニカやアンビエント、ネオサイケデリックファンからチルアウトミュージックファンまで魅了している。また、彼女の曲はコンテンポラリーダンスを始め多くの芸術表現と非常に相性が良いため、他ジャンルのアーティストとのコラボレーションも行われている。そういった前衛的な音楽だけではなく、『青い空の日に』などストレートに胸を打つポップな楽曲もあり、表現の幅はとても広い。
独特な音楽で芸術的な世界を作り出すköttur。彼女の表現は音楽に留まらず、新たなアートとしても注目を浴びるに違いない。(津田 聖治)
【köttur】
2007年に2人組のユニットとして結成。2011年にはソロとして都内を中心に、北京でのライブや多くのアーティストの作品にゲストボーカルとして参加するなど幅広く活動中。2013年8月に初のフルアルバム「トマト帽のベレー」をkilk recordsよりリリース。聞きなれないバンド名であるコッテルとはアイスランド語で”猫”の意味。