NO IMAGE

羽佐間道夫さん 声優口演の準備は半年以上前から!「稽古もちょっとハードなんです」【前編】

羽佐間道夫さん 声優口演の準備は半年以上前から!「稽古もちょっとハードなんです」【前編】
羽佐間道夫さん 声優口演の準備は半年以上前から!

 声優の羽佐間道夫――。

 アニメはもちろんのこと、シルヴェスター・スタローンをはじめとした海外スターの吹き替え、報道番組や情報番組のナレーション……今まで声をあてた本数は延べ7000以上。声優界の大御所でありこの人の声を聞いたことが無い人はいないはずだ。

 そして、そんな羽佐間さんが毎年精力的に取り組んでいるのが9月16日より開催される『第9回したまちコメディ映画祭in台東』の人気企画『声優口演ライブ』だ。

 今年は『声優口演ライブ したコメmeets 小津安二郎』と題し、名監督で知られる小津安二郎の無声映画『淑女と髯』今年は、野沢雅子、山寺宏一、土井美加、真殿光昭、たなか久美とともにキャラクターたちに命を吹き込んでいく。

 いよいよ開演まで1ヶ月を切り、したコメの人気企画となった『声優口演』の歴史と、その思い、今回の見どころや、今後の展望などを尋ねた。

 ※※※

 ――まずは、したコメでの声優口演が始まったきっかけはどんな感じだったのでしょうか?
 始まりはね、10年以上……もっと前かな、長野のある映画館主から声がかかって、野沢雅子と2人でライブをしようという話があってね。そこである邦画でしたけど上演したんです。まったくお客さんのいないところでやってるという感じで、始まって(苦笑)。でもね、お客さんは少なくはあったけど、意外にお客さんのウケが良かったんですよ。それから出発して、山寺宏一たちが参加してきてスタートしたんです。そこで、チャップリンの映画をやろうかということになって、日本のチャップリン協会の大野裕之さんとかが「一緒にやりたい!」というお話になりって、だんだん形ができてきた。それを、(したコメプロデューサーの)いとうせいこうさんが聞いて、「今度始まるしたまちコメディ映画祭でどうですか?」と、お話があったんです。そこで、まずはしたまちコメディ映画祭に行く前に国際映画祭の中で、大映映画の方たちだったと思うんですけど、なんかありませんかという話が盛り上がって、じゃあ、(ジャズピアニスト)山下洋輔をバックグラウンドにしてやりましょうかという話でさらに盛り上がっていったんです。当時の角川(現・KADOKAWA)の社長さんがリーダーで音頭をとってオーチャードホールでやったり、段々声優の方たちも参加するのが多くなってきた。

 ――声優口演には野沢雅子さん、山寺宏一さんと第一線で活躍されているお忙しい方が集まられてますね。
 前は戸田恵子が来てくれていたんですけど忙しくて(苦笑)。声優さん自身がやりたいと手を挙げて頂いてこうなっていますけど、意義を分かってくれる人じゃないと出づらいと思うし、稽古もちょっとハードなんです。

 ――稽古がハードということは、それだけ事前の準備に時間をかけていらっしゃるのでは?
 今回のしたまちコメディは最近、台本が全部上がったというところです。9月に入ったら詰めて稽古していく感じかな。ライブだから音楽も合わせるし、いくつかに分かれて準備を始めています。

 ――すると1、2ヶ月前からの準備ということでしょうか?
 いやいや、台本を作り始めるということになると半年以上前からですよ。

 ――半年以上……。
 今回に関していえば、小津安二郎さんの『淑女と髯』をやるということで松竹さんといろいろ折衝して、許可をもらってね。

 ――これまでのしたコメでの声優口演のゲストの方で印象的だった方はいますか?
 どなたがどうというのはないんですよね。みんなが頑張ってやってきているので。声優口演をみんなで楽しんでやってるんですよ。いまのスタジオの録音状態って、人気がある人は抜き録りなんですよね。でも、声優口演は集まって稽古しないといけなくて、舞台と同じなんですよね。そこにみんなが意義を感じて、やってくれてて。確かに、特徴的というなら若本規夫とかは特徴的で、ちょっと不思議な演じ方をするし、田中真弓や山口勝平、高木渉、この前の声優口演には三木眞一郎も来てくれたりとかかな。

 ――声優口演といえば羽佐間さんの軽妙なトークで、キャストさんの普段見れないパーソナルな部分も引き出されてますよね。
 自由に放っておいたらいつまでもしゃべっちゃう(笑)。でも、もう先輩はあまりいなくて、みんな僕より後輩だからある意味敬ってもらってて、これはこれで1つの色合いがあると思っています。ただ、劇場を借りている時間もあるから、スタッフ側からは、「やめてください!」って言われているんです(笑)。

 ――トークで何か気をつけていらっしゃったり、制限はあったりするんですか?
 なんの制限もありません(笑)。事前にはかってやったらきっとウケないと思う。だからみんなが食いついてきているんじゃないかと思います。ただ、答える方も自由(笑)。だから、ここは先輩・後輩もないですよ。

 【後編(羽佐間道夫さん声優口演への熱い思い!「ライブの空気感があるというのに醍醐味がある」)へ】

広告