演出家で俳優の森崎博之（42）が5日、東京・下北沢の本多劇場でミュージカル『KACHI BASU（カチバス）』（演出：北澤秀人）の初日公演を飾った。
同作は40年間赤字だった北海道十勝のバス会社が起こした奇跡を、事実を元にミュージカル化した作品。主演キャストを北海道出身の俳優が固め、歌にもセリフにも北海道言葉が散りばめられ、笑いあり涙ありの感動ミュージカルとなっている。
初日の公演を終えて、森崎、女優の川村ゆきえ（27）、俳優の小野寺昭（70）、原作者の吉田理宏さん、モデルとなった十勝バスの野村文吾社長が報道陣の前に登場した。先日の公開稽古（http://japan-newslounge.com/archives/109864）やインタビュー（http://japan-newslounge.com/archives/98919）で舞台にかける意気込みを語っていた森崎は「初日に向かってずっと走ってきた想いがあります。いよいよお客さんを乗せて車道に出たな、という感じです」と感激の面持ちで語った。
森崎は「お客さんがアクションをくれるということがすごく嬉しい。ホッとできたね」としみじみ。川村も「楽しめました」と笑顔で公演の感触を語った。森崎と川村は初ミュージカル、小野寺も4回しか経験したことがないということだったが、「ミュージカルは楽しいですね。こんな舞台が毎日できて幸せ。札幌、帯広でもできるということでハッピーです。この想いがお客さんにも届けばいいな」と森崎。
初挑戦となる川村も「歌うということで不安が大半でしたけど、本当に楽しめて、阿知波（悟美）さんがすごく教えてくれたし、歌うことの楽しさが徐々にわかってきました」と溢れるような笑顔。森崎が「もうグラビアでません！ とか宣言したら？」と水を向けると、「それは言えないですけど、ミュージカルって楽しいことなんだなとわかりました！」と笑顔で話した。
役作りからも全面的に協力したという野村社長は「想像以上にすばらしい作品。何度となく涙が出ました。感極まりました」としみじみと話した。帯広出身の小野寺は「子供のころに乗ってたバス。あんなことがあったとは知りませんでした。私も道産子。帯広出身を誇りに思ってます」と感慨深く語った。
また、森崎は公演前は“歌わない宣言”までしていたことを記者から聞かれると「歌わない宣言をしたんですよね、お話が来た時、大北海道ラブとしては“ぜひやります”と言ったんですけど、未経験のミュージカル。“歌わないでいいなら…”と言ったら『それでもいい』とおっしゃるので」と振り返りながら「あの手、この手で歌うことに」と照れ笑い。川村から「すごい素敵でした！」と太鼓判を押されると「歌っているんじゃない、吠えているんだ、俺の叫びを聞いてくれ、っていう感じです……歌って良かった！」と充実の笑顔だった。
演劇ユニット『TEAM NACS』リーダーとして活躍する森崎は「大泉洋は、あいつが俺のことを“平成のジャイアン”と呼ぶんですよ。この話が来た時に話したら『何いってんだリーダー、ミュージカルなのに歌わないとは何事だ！ しっかり歌ってこい』と言われました…あいつ（大学の学年で）4コ下なんですけど」と苦笑い。そして、「たっぷりとエールをくれたので勇気づけられました。でも、あいつ観に来ると思うんですけど、『やっぱり歌わなきゃよかった』と言われないようにがんばります」と気を引き締めた。
最後に森崎は「この公演を北海道でやるということにものすごく意義があると思うんです。会場はものすごくでかいです。札幌、1500人。帯広、3000人。ぜひとも初日を終えたこの勢いでなんとか成功させたい。北海道の人にこそ、十勝のバス盛り上がっているんだよ、全国がこのバス会社に注目しているんだよ、ミュージカルにまでなったんだよ、ということを北海道に持って帰りたいです。おっきいお土産をお届けしたいです！」と力強く語った。
■公演詳細
○キャスト
・森崎博之（TEAM NACS）／東川町出身：吉沢文太（十勝国際バス社長）
・川村ゆきえ／小樽市出身：吉沢由美（文太の妻）
・青柳塁斗／札幌市出身：樋野ワタル（バス会社の運転手）
・脇知弘：大平隆（帯広観光タクシー社長）
・竹森巧（アップダウン）／茅部郡出身：園田健一（バス会社の社員）
・阿部浩貴（アップダウン）／札幌市出身：高橋秀人（バス会社の社員）
・小此木麻里：佐藤小雪（バス会社のバスガイド）
・近江谷太朗／帯広市出身：中村五郎（バス会社の古参の部長）
・今拓哉：塙洋平（塙ガーデン社長）
・阿知波悟美／今金町出身：田中麗華（元バスガイドのお局事務員）
・小野寺昭／帯広市出身：吉沢文一（文太の父、先代の社長）
○公演日
・東京公演：2014年1月5日（日）～13日（月・祝）下北沢本多劇場13回公演
料金：全席指定6,800円（税込）※未就学児入場不可
・北海道公演：2014年2月12日札幌市民ホール、2月14～15日帯広市民文化ホール
料金：全席指定5000円（税込）※未就学児入場不可
